「きみはいい子」

数年前、アラブ世界で同時多発的に発生した民主化運動、所謂「アラブの春」に対して、当時「イスラームにはイスラームの民主化がある、し、そうしなければ本当の意味での民主化は成立しない」といった旨の論評が見られました。私もこれには全く同意します。…

「コングレス未来学会議」

ネタバレ、とかいう以前に、何も知らずに新鮮な状態で観るのがよいと思います。 この作品の原作者って「ソラリス」を書いた人なんだ。なんだなんだ。そう言われたら全く同じ話じゃないか。観てる間は「ソラリス」のことは全く頭に浮かばなかったのだが。いや…

「海街diary」

三姉妹がお父さんの後妻の一人娘さんを引き取ります。だから四姉妹の話ですね。 原作は読んでいません。 とにかく「女優さんってスゲーな…… !」と衝撃を受けました。だってさ、この映画、綾瀬はるかさんと長澤まさみさんと夏帆さんの3名が、血の繋がった姉…

「チャッピー」

なんて可愛い映画なんだ!!!! ネタバレはしてますかね。具体的に何が起こるかは書いてないけど。 人工知能を植え付けられたイリーガル警官ロボ・チャッピー、そして、彼を育てることになるDQNカップルのニンジャとヨーランディ、加えて、彼らと行動をとも…

「インヒアレント・ヴァイス」

インヒアレント・ヴァイスを観た。のだが――果たして俺はこの映画を「観た」といっていいのだろうか?なぜなら、俺は上映時間の大半をウトウトまどろみながら過ごしたからだ。どんな内容だったのかを思い出そうとしたら、ビッグフットがアイスをチュパチュパ…

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

思いっきりなネタバレはしてないけど、どうしても触れたいところはあるので、そこはちょっと色を変えつつ触れてるのでご注意下さい。 かつてスーパーヒーロー役で一世を風靡した主人公(現在は没落中)がブロードウェイ進出を目指します。 はあ?またサブタ…

「アメリカン・スナイパー」は反戦映画なのか

映画評論家の町山智浩さんが、『この映画、どうみても戦争を賛美しているような内容じゃないのに、アメリカでは「イラク戦争でめっちゃ人を殺した男を英雄的に描いてて良い/悪い」みたいな論争になってて不思議』みたいな話されてて、まあ実際、イーストウ…

「紙の月=宮沢りえ」論

ネタバレというか、具体的な内容はあんまし書かないようにしていますが、本質的な部分には触れてますので気をつけて下さい。 吉田大八監督作品って、過去作のすべてが「そこまで観客が抱いていた印象を終盤で見事にバタンと裏返す」というものばかりなので、…

「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」とAWESOME MIX

ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーってCMとかポスターがいまいちイケてなかったから、たとえ良い評判を聞いても「本当に面白いの?」って印象あったんだけど、観てみたら「マジか!!」ってぐらい最高で、でも、この楽しさ伝えるのって具体的な内容を…

改めて「LEGOムービー」を観た。

最近、お子さんちょっと知恵がついてきて「レボ(=レゴのことです)できかんしゃトーマス作ッテー」とか「パーシー作ッテー」とか言ってきて、でも、我が家にはそんなに沢山ブロックないから、8bit的技法でそれっぽい色使いのボンヤリした固まりを作って、…

「TOKYO TRIBE」、その鈴木則文イズム

ネタバレしてるかな。 別にいいよって方は、 Ultimate Breaks & Beatsでもかけながらどうぞ。 - 冒頭でがなるユーちゃんと違い 組みこまれてんじゃん、漢とMEGA-G チョイ役なのにヤバいANARCHY とか、色気出まくりヒップホップの人たち そりゃハマるだろ、ヨ…

「思い出のマーニー」

幼い頃に実の両親と死別した12才の少女、アンナさん。繊細な性格で周囲と容易に打ち解けることができない彼女は、夏休みの間、喘息の治療も兼ねて普段暮らしている街を離れ、養母の親類の居る田舎街へと赴きます。 この映画、「良かった!」という意見を耳に…

「ビフォア」シリーズ

或る男女の姿を9年ごとにとらえています。 「ビフォアシリーズは現状3作作られている」ということは知っており、最新作である3作目「ビフォア・ミッドナイト」の予告をサラリと見たことがある――程度の状態で、まずは第1作にあたる「ビフォア・サンライズ」を…

「アクト・オブ・キリング」

僕はこの映画を見終わった後、ふと「知性なんてドブに捨ててしまったほうが快適な人生を送ることができるのではないだろうか」と思った。「知性の放棄」、それは「蛮性の行使」を表すのではない。いや、その言葉を使うと、何か遠い世界の出来事のように思え…

予習せずに「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」を観ました

アベンジャーズシリーズは「アイアンマン」の1と2をボンヤリ観たことがあるぐらいなんですが、一度こういうパターンで作品に触れるのも面白いのではないかということで、全く予習せずに観にいってきました。なので「そんなの知ってるよ!」と思われることも…

「スノーピアサー」と「新しき世界」

【スノーピアサー】 近未来。生物が住めなくなった極寒の地球の上を、人類の生き残りを乗せた列車がグルグル走り続けています。最後方の車両で虐げられた生活を送る主人公たちは革命を起こそうとします。 ネタバレはしてますね。 ポンジュノ監督、前作である…

「天使の分け前」における盗人問題

この映画、めちゃくちゃ好きな類いの映画でした。なにがどう好きだったのかといいますと――登場人物達のキャラ立ち?ええ、良かったですね。歯がないヤツは大体トモダチ。でもそれが肝ではありません。じゃあ風景?スコットランドの街並みや大自然、良かった…

「悪の法則」と「2666」について

まず「悪の法則」についてです。 メキシコの麻薬取引に関わった人たちが皆大変な目に遭います。 さっそくですが、「悪の法則」という邦題、ちょっとどうなのでしょうか。というか、はっきりいうと、ワタクシ、このタイトルは制作者の意図をすぼめてしまうも…

「ばしゃ馬さんとビッグマウス」 誰がこの脚本を書いたのか――

とにかく、麻生久美子さんが超絶に可愛いです。可愛すぎます。いざ、感想を書こうと思い、面白かった場面を振り返ろうとしましたら、頭に浮かぶのは、とても可愛らしかった麻生久美子さんの御姿ばかり。しかし。具体的にどこがどうってのは全然出てこない。…

「サプライズ」次はお前だー!

わりとネタバレしていますので、これから観賞されるご予定のある方は後ほどのほうが良いと思います。が、致命的なことは無いように気をつけてはおります。 とある家族が人里離れた別荘で動物のマスクをつけた怪人に襲われます。 とりあえず、諸々の設定がと…

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」

ましたが。「神」という存在は、「神」という名があるからには「神」として認識はされているわけじゃないですか。「神」はそこに在るのではない。我々がつくっているのです。そう考えると彼女は「神」なんかじゃない。だって誰も彼女の存在を知らないんです…

「そして父になる」「はあ。どうぞご自由に」

非常に丁寧に作られたとても良い作品でした。ハリウッドリメイクの話が出るのも納得の仕上がり。リメイクされた時どんなカンジになるのか想像するに易いシンプルかつ強度の高い絵と脚本具合でとても面白かったです。で。どのように面白かったのか。一言でい…

「凶悪」の凶悪さについて

「凶悪」という映画は「冷たい熱帯魚」及び「復讐するは我にあり」の系譜にある映画なのでしょうか。ワタクシはそれちょっと違うんじゃないかなあと思うのです。と、オブラートに包んでみましたが、あきらかに根っこ違うやん。全然違うやん。だって「冷たい…

カナザワ映画祭2013に行きました

今年もカナザワ映画祭に行くことが出来ましたので、観た作品の感想とストーキングの記録を少し。 - 【バーニング】をみました キャンプ場の管理人のオジサンが少年達のイタズラのせいで全身大火傷を負う!退院したオジサンは怪人バンボロ(命名:東宝東和)…

「マン・オブ・スティール」

全く期待せずに観に行ったのですが、これが存外面白くって。 - 諸々いきなりの展開で申し訳ありませんが―― バットマンの世界を現実社会に即した形でリアルかつシリアスに描いてみせた「ダークナイト」というシリーズがあるじゃないですか。その「ダークナイ…

「パシフィック・リム」3D吹き替えと2D字幕について

先日観た「パシフィック・リム」は2D字幕ver.だったのですが、3D吹き替えも気になったので観てきました。結論から書きますと――3D吹き替えも最高でした。 が、ワタクシ的には先に観た2D字幕のほうが断然良かったので、その2つを比較することで、ワタクシにと…

「パシフィック・リム」

超面白かったです。最高です。 映画を観終わった後、菊池凛子になってイェーガーを操縦しているような気持ちで車を運転して帰りました。この映画を観れば、たとえ85年型のサビサビのミラに乗っていたとしても、凛とした心持ちで世界と接することが出来るでし…

「風立ちぬ」

【ここんとこ続いてますが例によって予告の感想から】一番はじめにみた「風立ちぬ」の予告は、カット数が極端に少なかった為、『あれ?この映画、もしかしてまだ全然できてないんじゃね?結局間に合わんくて、後半は絵コンテそのまんま出してくんじゃね?』…

「みなさん、さようなら」

劇場で予告を観た時からちょー気になっていたのですが、タイミングが合わず見逃しちゃいまして、この度のDVDリリースでようやく観ることが出来ました。 渡会悟12才。団地から出ずに生きていくことを決意しました。 ワタクシ、この作品の予告を観た際、『え?…

「華麗なるギャツビー」

僕はその渦中に居たわけじゃないし、だから、当然直接の面識もないから、ニックとは全然違って99%部外者なわけだけど、でも、その位置からみた景色ってのもあるかもしんないし。 - その昔、クイックジャパンという雑誌で、東京モッズシーンについての連載が…