ローラーガールズ・ダイアリー

ラッセン大好き!」っていう人がいたらどう思う?
「ちょっと距離置こうかな…」って思わない?
でもさ、それ言ってるのが土屋アンナだったらどう思う?
全然許せてしまわない?
彼女の発言には衒いが無いから全然許せそう。本当に率直に素直に好きなんだろうもん。むき出しのパーソナルの美しさには勝てん。ロックンロール。

おそらくね、ドリュー・バリモアもおんなじタイプだと思う。
「この音楽ちょっと古くない?」つったら、
「は?好きだからイイじゃん。ていうかカッコイイでしょ!」って絶対言うよ。満面の笑みで。

そんなドリュー・バリモア初監督作品である「ローラーガールズ・ダイアリー」を観たわけです(というか、『そんな女性であって欲しい』ドリュー・バリモア初監督ですね。サーセン

内容は【お母さんの言うとおりの生活送ってた真面目な女の子が、とっても過激なスポーツ『ローラーダービー』に出会って---】っていうお話。
まあまあ、そのプロットで思いつく展開が順調に発生していきます。フラグ立ちも回収も非常に順当。

でもさでもさ、そんななのに(失礼)超ー面白いの。

それは、類型的なお話だから『こそ』、監督のパーソナルな部分がより浮き彫りになるからなんスかね。
ギャグは下世話だし、音楽も90年代的で絶妙(というか微妙)。
しかしそれがイイの!それだからイイの!「ドリュー・オレの映画だぜ」感がビンビンにでてんの!!

各登場人物もね、皆、超ー愛情注いで描いてるからか、どんなとこに住んでてどんな生活を送ってんのかよくわかる。
終盤、主人公唯一の友人であるパシュが「コロンビア大学@NYCに行くこと決まったんだ」って言った時なんて超泣けた。

だってさ、その娘、地元ではとっぽいカンジで過ごしてるけど、所詮は南部在住のいまいち垢ぬけない女の子なわけじゃん。そんな娘がいきなしNYCの大学に行ったら…絶対かっぺ扱いされて大変なわけじゃん。洋服だってさ、自分では「勝負服!」って思ってるヤツ鼻で笑われたりするんだよ、間違いないよ。せつなすぎるよ。でも、パシュよ、そんなこた大学卒業するころにはどうでもイイ問題になってんだよ、だから頑張れよ、な、負けんなよ!

ってな具合に勝手に妄想炸裂させて一人涙してしまうぐらい、設定に魂こもってるんですよ。あのね、もう一度言ってきますけどパシュは「コロンビア大学行くの決まった」って言っただけなんですよ!太字のとこはあくまでボクの妄想!

あとの『泣きポイント』は主人公のお父さんとお母さんね。これはヤバい。
お母さんはさ、娘のミスコン優勝目指してスゲー理解無いカンジのスパルタ教育施してるんですけど、普段は結構しょっぱい仕事してんですよね。これはキますね。
お父さんはお父さんで、いかにも南部の優しいお父さんてカンジでグッとくる。うーむ、なんなんでしょこれ。この両親像って、ドリューにとっての『理想の両親像』なのかなあ。断絶してるようで全然そうじゃないお母さんとお父さん。そう考えるとさ、この家族描写が余計に泣けるんだよなあ。

もうね、そういう映画なんで一旦スイッチ入ってしまうと本当ダメ。作中ドリュー本人が主人公のローラーダービーチームの一員として出演してるんだけど、彼女が登場して「ダハハハ〜」「にゃははは〜」って笑ってるのみるだけで泣けてくんのね。いやー本当にイイ映画。良作。

あ、そうそう、観終わった後、原題思いだして、「やっぱ間違えてなかったんだ!」と思ったよ。そのシーンとこでことごとく涙ぐんでしまうんだもん。マジックかかりすぎ。


【採点】
ドリュー・バリモア度:100万点