パラダイム
〈カナザワ映画祭での爆音上映が好評だったようで観てみました〉
「パラダイム」、原題は「PRINCE OF DARKNESS」って言うんですね。今作に関しては思わせぶりな邦題のほうが良いカンジがします。「PRINCE OF DARKNESS」って言われるとさ、「実在感」が出てくるもんで。なんかさ、イイカンジでぼやかしてるほうが怖いよね。さすがの東宝東和ワークス。わかってはる。
とにかく、この映画、全編に渡って漂うなんともいえん不穏なヴァイブスが素晴らしい。序盤、延々流れてる音楽とか本当にキモチワルイ。爆発しそうで爆発しない、でもいつか爆発するんだろうなという予感をビンビン発しながらずーーっと流れてる。たまらん。ちなみに、まったく音楽が鳴らない会話パートにおいてもテンポが良く大変グルーヴィで、これは爆音上映向きですな。
そんなテンポのよさの集大成がクライマックスんとこですよね。
バーン!!と切り落とすんだけどニョキー!!ってなって
「ハワワワ…」「ハワワワワワ…」
はいドーン!ガシャーン!!バリーン!!!
「ええっ……?マヂで…?」
−沈黙−
口からケムリがフシュー…
朝までクラブで遊んだ帰りって切ないよね…見慣れた街が別世界に見えるよね…祭りの後感ハンパないよね…
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ビジュアルも面白いし(とくに水が顔面の穴から入ってくとこが好きです)パーツパーツは非常に好みなのですが。
が。が。が。
【以下ネタバレ反転(珍しく)】
牧師さんが色々興味深い説教するじゃないですか。個人的にキリスト教と科学のお話って大好物なので、ビンビンくるものがありました。
「原子より小さい、それこそ目に見えないぐらいの構成要素の中に【悪】はひそんでいる」とか「我々は人間の心の中にある【悪】を人格化し、それを勧善懲悪というお題目におとしこむことで【新しい人生】という製品をつくりあげた。そして、その製品を−これまた我々がつくりあげた−【持たざる者】たちに売りつけてきた。そういった行為は、真実から眼をそむける行為でもある」みたいなお話をするわけ。こういうの大好きなんですよ。ハアハア。
なんですけど…
おいおい。大風呂敷広げたわりには鏡の向こうから、実在的な手が出てきちゃったよ!!!ってなっちゃったんですよね。
あとさ、あとさ、未来からタキオンで送られてきた画像って、メチャクチャ矛盾孕んでますよね。映像を発信してる未来人曰く「今みている画像は、これから起こる事件に対する警告だ。どうかそれを阻止してくれ」ということなんだけど、1999年の世界に、鏡の向こうに行っちゃったヒロインが登場しているっていうことは、阻止しようとしている事件は起こってしまったっていうことなんで、そうなってくると、画像送られてきてもどうしようもないですよね。だって起こったことに対する結果なんだもん。そんな画像送られても、というか送られることによって、阻止しようが無くなっちゃうという。典型的なタイムパラドックス。
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いや、本当にパーツパーツはすごーい好きなんですよ。なんだかんだ言うてますけど、映画における『完成度』と『面白さ』は正比例するもんじゃないと思ってるし。パッキパキに構築された作品なんかより、メチャクチャな作品のほうが面白いことは多々あるわけで。しかし、どこがどうノイズになって「ウーン…これはちょっと…」なるかっていうのが自分自身いまいちわかってなくって、今後、その辺が明確になってったらイイなあ…と思ったり(実はそれがブログ開設した理由の一つだったりするので)。
あ。そうそう結論。
とりあえずイイカンジでボヤかしてるのが一番怖いよね。
東宝東和は偉大。
改めて。