ベスト・キッド(84年のヤツ)

「ベストキッド」って、ボクん中で80年代の象徴みたいなイメージがあってずーーっと敬遠してたのです。だってさ80年代ってダサいじゃん。


強烈な肩パッドor袖なしTシャツでしょ?ボトム含めて逆三角形でしょ?バンダナでしょ?で、非東洋人がカラテ?日系人に教えてもらって?鉢巻き巻いて?んなもんワックだよワック!!木人拳に叶うわけないよ!!


ってなカンジだったのですが、25年寝かせた今観てみますとコレが---最高だったんですねー。オールタイムベスト級でした。本当にごめんなさい…!!

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とにかく、登場人物が皆イイですね。

まず、主人公のダニエルさん。超良い。
「あんまし裕福じゃない母子家庭の子が、チャリンコ乗ってるところを金持ちDQNバイカー集団に襲撃されて裂傷&自転車破損(揚句やり切れなくなって自転車廃棄)」なんて目茶苦茶切ない話じゃないですか。フツー、主人公がそんな目に遭おうもんなら、我々観客は、彼の心情に寄り添って「あのDQNどもいつかブッ殺してやる!」ってなるじゃないですか。
でも、ことダニエルさんに対してはそこまで怨念背負わせらんないんだよね。金持ちDQNバイカーカラテ集団「コブラ会」のやり口にはいっちいち腹立つわけですけど、ダニエルさんは彼らにチクチクやられてる一方で、気になる女の子にガンガンアプローチかけてたりして、なんていうのかな、基本陽性というか呑気なカンジ漂ってて、全然湿っぽくないんですよね。色々気配りできる優しい奴なんだけど、それが過剰な哀切につながるタイプじゃない。お母さんの教育が良いんですね。
というか陽気かつ呑気は完全にお母さんの血ですね。


んでミヤギ先生ですよ、ミヤギ先生。
これまた素晴らしいですね。本当ゴメンなさい。

ミヤギ先生が、リンチされてるダニエルさんを救うシーンとか最高ですね。あのシーン、ダニエルさんにとってはミヤギ先生がカッコイイヒーローみたく映ってるっぽいんだけど、一観客の至極客観的視点でみますと、ミヤギ先生、いきり立った小犬みたいで超キャワイイんですよね。萌え。
あとさ、打撃練習中、調子に乗ったダニエルさんを足挟み(?)で倒すとこなんて悶死ですね、悶死。絶妙に動きがモッサリしてんですよね。でさ、時間は夕暮れでさ、カメラが回りこみつつだんだん引いてくんだよなー。超イイんだよなー。おっさんと少年が戯れてんのを俯瞰でみせるとか…監督天才すぎる…。


あ、モッサリといえば、ヒロインの子のモッサリ感も素晴らしいですよね。ダニエルさんより横幅あるのがさ、リアル女子高生ってカンジで素晴らしい。発育しまくり。そんな彼女がチアリーディングの練習してるシーンなど映画史に残る名シーンですね。あとさ、デートん時に着てるお洋服の、なんていうの、「俺達が中学生のとき一番オシャレだと思ってたお洋服」感とか堪らないものがありますね。


あとあと、いじめっ子のコブラ会のヤツらのウザったさも最高ですね。おもわず背後から鉄パイプでブン殴りたい衝動に駆られるクソWASPっぷり。とくにリーダーの野郎の髪型がマヂでムカつくんだよな。髪型キープするヒマあんならカラテの練習しろよ、クソが。ってカンジ。完璧。
んなわけで、カラテ大会シーンは、コブラ会のヤダ味展覧会の様相を呈してますよね。そもそも集団でさ、汚いやり口で突っ掛かってくるヤツらなんて人間のクズなわけだからさ、ヤツらがやったのとおんなじように故意に足をへし折ってしまえばいいのになー、となんの躊躇も無く思ってしまうぐらいムカつかせて頂きました。

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全体の構成は「転地での受難→ミヤギ先生と出会い修行→真のカラテとは」という流れを非常にタイトに描いてて素晴らしい。120分と思った以上に長尺だったのですが、それを感じさせない素晴らしい作り。
実際、構成構成のキモが印象的で、前述の「コブラ会のリンチ/ミヤギさんの助太刀」や「ミヤギ先生の過去が語られた後、すすんで練習に取り組むダニエルさんの姿」は本当にグッときます。


あとさ、スゲーいいなと思ったのは、主人公の技術面の向上と精神面の向上が正比例してないとこ。目茶苦茶イイなと思いました。ダニエルさん、全然浮世離れしないのね。カラテ大会でも『所詮2カ月の練習に過ぎなかったんだな』と思わざるを得ないヘッポコな構えで、ダニエルさんはあくまでこっちサイドにいるんだよね。それが絶妙の旨味成分になってんだよな。


(あとさ、大会シーンの尺が絶妙に短くっていい。あくまで、そこに到るまでのドラマが重要っていうわけ。これ、邦画だと大会に長い時間取るんだぜ、ダラダラダラダラ。あのさ、お金の取れるプロレスラーってのはさ、入場で色気出せるか否かなんだよ。つまりさ、そういうことなんだよ。解る?)

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なんかさ、体育の授業で男子達が履いてるパンツがホットパンツみたいだったり、ヒロインの友達の子の髪型が異常に重かったり、つか、先に挙げたチアリーディングの練習んとき、後ろにいるヤツがグラサンかけてキビキビ踊ってたりと、なんともいえん80年代感がいちいち全部最高で。もちろん音楽も素晴らしく、80年代特有の「あの音」が、学校やデートんときにずーっとかかってんだよね。「あの音」をこれでもかっていうぐらい浴びることが出来る。至福。

って実は、登場人物やその他諸々の演出で「最高すぎる!!」と思ったポイントって、完璧コインの裏表で、すなわち25年前にみてたら「80sウザすぎる。ダサすぎる」と思ってたに違いないわけで、とにかく今まで寝かしといて良かった!!!!という気持ちでいっぱい。


1000万点。80年代最高。
(というわけで「毎度お騒がせします」の坂東英二オマージュでレオタード着ながら書いてみました)