ロッキー5 最後のドラマ

〈エクスペンダブルズに備えて。「4」まではテレビで観た世代〉


え?第11回ラジー賞10部門中の7部門にノミネート??


考えられん!!
こんなに面白いのに!!


いや、考えられる!!
でも面白い!!

                                                                                                              • -


まずオープニングがイイですよね。「ロッキー4」のドラコ戦が異常に長く使われてて。そりゃさ、あんだけの激戦経験したら脳みそおかしくなっちゃうよね、仕方ないよね、引退しなきゃしょうがないよね、と再認識すること間違いなしの長さ
そんな廃人寸前のロッキーなんですけど、容赦なくさらなる不幸がふりかかっちゃいます。
なんと、ロシアに行ってる間に会計士の不正により破産!!!!エイドリアン兄妹が罵りあい!!!!酷い!!酷過ぎる展開!!!さっきまで息子に「何不自由ないお前の目から俺は人生を見直してる」って言ってたのに!!なんも無くなっちゃったよ!!つかここまで僅か15分!!怒涛の展開!!


そんなこんなで、どんな内容か全く知らないワタクシにとっては終始ヒヤヒヤドキドキものの展開。緊張が途切れることがありません。
「ロッキー…お金無いけど大丈夫なの?家族のために再びリングに立たなきゃダメになっちゃうの?そんなことして大丈夫なの?いや大丈夫じゃないでしょ?だってロッキー…すでに満足に喋ること出来てないじゃないか…モゴモゴモゴモゴ何言ってるかわかんないよ…」てなもんです。


だから、オクラホマからロッキーを慕ってやってきたハードパンチャー、トニー・ガンが登場したときにはホッとしたものです。エイドリアンの−ろくでなしの−お兄さん・ポーリーも「こいつはモノになるぞ」と思わずテンションあがっております。当初は、彼のマネージャーになることに対して難色を示していたロッキーも自分の熱き思いをトニー・ガンに託すことになり、我々観客は一安心。良かった、良かったよ。自分はリングに上がらなくてもいいんだよ。マネージャーとして彼とともに栄光目指そうぜ!万事解決!!


と思ってたらですね。


ロッキー、やっぱさ、脳みそがちょっとアレになっちゃってんでしょうね。加減の仕方がわからない。一箇所見つめたら他のとこに目がいかなくなっちゃう。家族をないがしろにしてトミー・ガンに過剰に入れこんじゃうんですよね。ロッキーあまりにもデリカシーがなさすぎるよ…家族崩壊しちゃうよ…大丈夫なの…ちょっと考えたらわかるんじゃないの…って思うのですが…


ロッキーいまいち解ってないよね。


というかさ、本当、ロッキーのアレなカンジが超イイんだよね。ボクシングの試合を観てギンギンに興奮、おウチのサンドバックをバスバス殴るシーンの暴走っぷりとか、ちょっと前に言ったことや聞いたことをすぐ忘れちゃうのとか、いちいち全部素晴らしい。でも、「ヤベー…この人には近づきたくないな…」って類の狂気じゃないんだよな。なんというか、輪島さんとか渡嘉ちゃんみたいな愛すべきボクサーヴァイブスが出てんだよな。


ちなみに。ロッキーはロッキーである以上、やっぱ結局バトル巻き起こしちゃうわけですが、とにかくその舞台が衝撃。んで、やっぱフラッシュバック起こしちゃったりなんかしてさ、「おいおい…大丈夫なの…もう止めて…本当怖いからもう止めて…って…え…それきっかけで覚醒しちゃうの…!!!??いままでのフリはなんだったの…!!!???」となるという。んで、戦う相手の扱いが滅茶苦茶酷くって最高なんだよな。この物語のイヤーな部分を突然、強引に、ほぼ全部背負わされちゃうんだよな。本当酷い。ロッキーの息子の罵声とか酷過ぎて最高。


え?そんなのでいいの?ですって??イイんですよ。


ロッキーのテーマが流れれば万事解決するのです。