イップ・マン 葉門

ブルース・リーの師として知られる武術の達人、イップ・マンの生涯を描いた人間ドラマ〉←コピペ


面白かったとこを主に3点。
ネタバレ注意。

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まず。


現代社会には、「職業:ドラゴン」問題、というものが存在するのをご存知でしょうか。詳しく書きますと「ドラゴンという職業に就きたいッ☆彡病」問題。それは、李小龍主演の諸作品を観て、師父の神々しい御姿にアテられちゃった人間が発症する危険な病気。ようするに、李師父演じる −めっちゃ強くて、かつ男気あふれる、けど職業不詳、というか、この人……無職なんじゃねえの??− というキャラに憧れ、おもくそ模倣した結果、気づいたらイイ年こいてクンフーが好きなだけの無職のおっさんになってしまっていた---という危険極まりない病気のことです。怖い!


「イップ・マン」はこの難病に対する警告が描かれております。これは本当に素晴らしいことです。


イップ・マンは「強さ・優しさ・男気」を兼ね備えた、まさに李小龍の師匠たるに相応しいとってもとってもかっこよい漢。しかし、そのかっこよさが経済的安定を伴っているかというと---否。否。否。
イップ・マンは、強くて優しい漢で在るあまり、弟子に月謝の支払いを強く催促できなかったり、弟子の起こしたDQN行為の尻拭いしなくちゃならなくなったり、でも奥さんと子供食わせなきゃいけなくって……というか奥さんのお腹には新しい命が宿ってて……なんてカンジで生活がしっちゃかめっちゃか、もう大変なのです。


そう、実社会においてドラゴンでいることはとっても苛酷なことなのです。イップ・マンは「君にはその覚悟があるか!それでもドラゴンになりたいのか!」という警鐘を鳴らしてくれているのです。


もし、その覚悟がないのなら、貴方はドラゴンになる資格はありません。勘違いしてはいけないのは、それは武術を極めることを否定しているのではありません。武術を極めつつ生活を安定させることは可能なのです。一見セルアウトしてるように見える、洪拳の師父・サモハンの生き方をみてみましょう。彼は拝金主義者ではありません。ちゃんと強くって仲間を守ってる。彼は素晴らしき拳法の庇護者なのです。イップ・マンとサモハンの違いは何か。それはドラゴンか否か、なのです。どちらを目指すかは貴方次第なのです。それはどちらにしても修羅の道ではあるのですが。

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続きまして。


「イップ・マン」は敵役の描かれ方が実に面白い。英国人DQNボクサー、ツイスターのクソっぷりが最高すぎます。こういう調子ぶっこいたクソバカ下衆な敵キャラを描くときって、一般的には、劇中どこかで「やむにやまれぬ事情があって下衆になりました」的描写があるじゃないですか。例えばさ、実はスラム街出身で病気の妹の治療の為、下衆なボクサーになりました---とかさ。いやまあそういうの無くっても、闘いの中で失ってた人間性に目覚めちゃったりするわけじゃないですか。


でもツイスターは---


そんなの微塵もないよね。
下衆にはじまり下衆に終わるよね。
なんとも潔し。


これって中華的なモンなのでしょうか。とりあえず、中華のネガティブキャンペーン力」幻想がギンギンに高まっております。100%調子に乗ったクズ野郎が存在する世界観。下衆は、登場してから退場するまで一貫して下衆な世界観。なんとも興味深い限りです。
今作をみる限り「イップ・マン 序章」における日本軍の下衆っぷりがどのようなものか大変気になります。さぞかし見事な下衆っぷりなのでしょう。観たいなあ。でもさ、それが原因で公開中止とかホントないよね。今作をみて「イギリス人という人種は総じてクソ!」って思わないでしょうにね。それとこれとは別問題、というか、そういった想像力の欠如こそが一番罪深いですよね。本質をみようとせずに拒絶や隠蔽を行うこと、これはツイスターと同じ地点にいることになるのですよ。

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で。最後に。


最後のバトルにおける「目つぶし→耳突き→容赦ないパウンド浴びせかけ」の非情なコンボ、このカタルシスがハンパなかったです。最高でしょ、コレ。コレはよ、スポーツの名の下に横暴を働くブタども、紳士のフリ・文明人のフリをして、その実はクソ下衆い行為を働くブタどもに対する怒りの鉄槌ですよ。


ルールを逸脱してきたのは白いブタどものほうだ!ブチのめせ!!てなもんです。
我々は目つぶし以上の侮辱を受けているのです。
自分らにとって都合のイイようにルールを捏造しまくるヤツら。半笑いで人を殴るヤツら。そいつらに「殺し」を仕掛ける。これは痺れずにはおれんでしょう。


ほんとね、「イップ・マン 葉門」、全国のイジメられっ子の皆さんに観て欲しいと思います。いじめっ子なんてカスみたいな人間なんだからさ、容赦なく耳をぶっ叩いて鼓膜破ってやればいいんだよ。それは全然卑怯じゃないし人道にもとる行為じゃないんだから。言うちゃ悪いけど、そもそも卑怯なのはイジメっ子のヤツらなんだから!

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おまけ:
サモハンの息子役の男の子が超味わい深かったですよね。初登場ん時からスゲーヴァイブス放ってて。んで、イップ・マンがその子抱えてアップんなったカットとか最高でさ、グルグル渦巻きの飴ちゃん持ってる姿とか超ヤバかったですよね。そこでさ、堪えきれんくなったおっさんが「ブフオオオ!!!」って音出して吹いて、それが最高に笑えました。