ザ・ファイター

↓↓これがすでにネタバレっていうのか。どうなんだ。

薬物中毒で元・天才ボクサーの兄がトレーナー、過保護な母がマネージャーをしている弟ボクサーがチャンピオンになるまでの話です。凄いこの家族に圧倒されます。兄と母を演じた二人にオスカーは当然!一見の価値あり!


というわけで、公式ホームページに記載されてる、各界の皆様から届いた感動のコメント中、選りすぐりの一品としてピーコさんによる美麗なコメントを引用してみたわけですけど---


違う違う!!ピーコ、微妙に違うよ!!

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今作、ボクん中では、わりと珍品の棚に入れさせて頂きました。視点の定まらなさによるワッサワサしたカンジとか、終盤の「どううりゃああああああ!!!」ってブン投げるカンジとか、結構、勢いというか雰囲気で持っていってるカンジがわりとアレだなあと思った次第です。 し か し 。 そのワサワサ感こそが今作の魅力なんだよね。全然好きです---全然好きなんです---


「目撃ドキュン!」的な意味で。


ミッキー&ディッキー&彼のお父さんお母さんお姉さん方って、ほんと、皆、そろいもそろって見事なDQN&ホワイトトラッシュっぷりですよね。とくにお姉ちゃん達、素晴らしすぎるだろ。リアル・ホワイトトラッシュ・ヴァイブス出し過ぎだろ。ワサワサしすぎだろ。どっから見つけてきたんだろう。トレーラーハウスからさらってきたんだろうか。とにかく素晴らしい。素晴らしすぎる。というか、あの家族、DQN家族すぎて名字の統一ままならんから説明すんのが面倒だよ!!


まあ、そういう視点でみたわけですから「面白い!」って思ったとこはわりと「目撃ドキュン!」テイスト満載のところだったりしまして。


お兄ちゃんが、お金稼ぐためにカンボジア人の彼女をダシに使ってブロージョブ詐欺働いて、でも、それが警察に見つかって夜の街を疾走するシーンとかテンションアガったなあ。あと、弟の彼女とDQN家族の姉妹連中が最高に醜いキャットファイトするとこもアガったなあ。髪をむんずと掴んでさ、ギャーギャーギャーギャー、やれ「大学行き腐って調子乗ってんじゃねえよ」だの、やれ「ヤリマン野郎」だの、ホント醜すぎて素晴らしすぎます。で、醜すぎるキャットファイトからのおおおおお------次の対戦のクレジット!!とかもう大爆笑でございました。


この家族、物語進むにつれて人間関係を良きものにしていってるかっていうと、実はあんましそんなことないんだよね。結局さ、独善的に弟をコントロールしようとしてきた兄貴とお母ちゃん、最初っから最後まで根っこの部分は変わってない。自己中のDQNのまんま。雰囲気で「家族の在り方変わった」っぽく描いてるけど、本質的なところは全然描かれない。あの家族で、具体的な心の変化(というか本音の吐露)と、それに伴った行動の変化を示してみせたのはお父さんぐらい。
ワタクシ、昨年から、ここで映画限定のブログを始めてみて、自分自身が「映画に求めていること」を客観的にみる機会が出来たんだけど、そうするとさ、「オレって【イニシーエーション無き映画は認められない】という姿勢強いなあ」っていうのを改めて発見しちゃったりなんかしてて。じゃあさ、それ基準で「ザ・ファイター」みるとどうかっていうと---おそらく認められない映画に分類されるんだよね。でも、全然面白かったんだなあ。新食感だなあ、これは。まあ、結局のところ描き方の如何なんだろうな。血のつながりには「どうしても離れられない何か」があるのは事実だし、なにより、ダメなもんをダメなまま描くのは全然魅力的だし。ようはさ、一番ヤなのは、ホントは全然そんなことないのに、雰囲気だけで「一皮剥けました」なんてのたまわってイイカンジで着地したような顔してるクソ映画がヤなんだよね(←我ながら色々しつこい)。

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あ。そうそう。「ザ・ファイター」、音楽がめっちゃ好みでサントラ欲しくなりました。とくにオープニングとエンディングが素晴らしかった(って実はOP曲、ebayで10インチ(←!)発見して速効ビットした)。
ちなみに、冒頭のインタビューシーン、物語が進むにつれて「ただのクラック中毒者の妄想じゃん!」っていうのが明らかになってくるんだけど、それがもう一丁ツイストして着地する---っていうのが大変良かったです。それを音楽でつなぐなんてとってもとってもオシャレやん。そして---エンディングといえばですが、というか、エンドクレジットといえば、ですが、いやー……か な り ビ ビ り ま し た 。「クリスチャン・ベイルすごすぎるよ!激似じゃねえか!っていうか、あのバカ本当に存在したんだ!!」ってなりました。あまりに衝撃的すぎてアレ観て何故か落涙してしまいました。


あとね、あとね、弟と彼女が初めてデートするシーンの「夕方」感がすげー良かったです。虫がジジジジジジって鳴いてて、季節はいつなんだろうなあ。初夏なのかなあ。彼女は長袖きてたけど弟は半そでだったんだよなあ。とにかく、あのシーン、初夏の夕方ってカンジで、それが初めてのおデートとマッチしてて超〜良かったです。「夏祭り一緒に行こうよ」的なさ。クーー。

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おまけの主張:

「ザ・ファイター」観ながら、ふと「エリックを探して」のことがアタマをよぎりました。それは、まあね、言わずもがななんだけど、改めて主張しておきますと、現在の日本社会には、違法とされている薬物がいろいろあるわけですが、それら全部一まとめで「麻薬」ってなっちゃってる状況に対して「どうなのよ!?」と思ってるわけでございますわ。この2作品見りゃ明らかじゃないですか。マリファナとクラックはぜーーーーーんぜん別モン扱いされてるわけじゃないですか。なんの批評性も無く、なんでもかんでも一緒くたにするのって危険ですよ。