Land of 1000 Dances  ―「ピナ・バウシュ 夢の教室」―

もうすぐ、中学校の授業でダンスが必修科目になるんですよね。文部科学省の人、うっかりこの映画を授業の教材に使ってくれないでしょうか。この映画、教材として圧倒的にイイと思います。本人の意思に関わらず、システムの奴隷にならざるを得ない哀しき役人さん達を生みださない為にも大変イイと思います。

今までダンスに興味なかったティーンエイジャー達が、有名な舞踏家ピナ・バウシュさんからダンスを教わる映画です。素晴らしいです。


さて。日本にはアホみたいな法律がたくさんあってウンザリすることしきりです。例えば、スピード違反の取り締まり。アレ、ホント最低で、「法定速度内で走ったら遅すぎて逆に危険な道」や「ある位置から法定速度が変更になってんだけどそれを伝える標識がスゲー認識し辛い道」で取り締まりしてたりするわけです。完全に捕まえることが自己目的化してらっしゃる。アホです。アホ(免許お持ちじゃない方からすれば「そんなの貴方の主観でしょう」と思われるかもしれませんが、免許持ってる方には概ね同意頂けるかと思います)。

フツーに生活してたら無意識的に犯しがちな――というか犯すことがフツーになっちゃってる――ルールを土台に置き、普段はそれら違法行為を――基本的には完全遵守不可能だから――放置しているクセに、ある瞬間、突然「違法!」つって捕まえてきくさるなんてマヂ汚いですよね。さらに汚いことに、ホントに危険な行為は意外な程スルーしくさってるんですよね。この国ははたして法治国家と呼べるのでしょうか。キーー。

というわけで。最近のクラブに対する強烈な締め付けもこのパターンなわけです。肩を揺らしたら違法ってなにそれ。その一方で、プッシャー放置してたり、わけわからんお店の出店をOKにしてたりするわけでしょ。全然意味がわかりません。
勿論、ワタクシ、「なんでもあり」と「自由」は全く別モンだと理解しております。ようは、今回の一連の騒動は、その区別がつかない市井のアホどもが発端となり、権力側のアホどもの印象を悪くしちゃった結果、アホな取り締まりが始まっちゃったという印象です。法律はアホだけど「バビロン!バビロン!」つう前にIDチェックぐらいしてもイイんじゃないですか、マヂで遊びたいのなら。ってカンジです。つかさ、そもそも論として、クラブにおいて、いままで「踊ること」が絶対条件として君臨してました?そうでもなくね?とも思うのです。「オレ、クラブの雰囲気が好きなんだよねー」つって、異性のケツを追いかけることに終始してるカッコつけてるだけのブタ野郎に「ダンス」はあります?男女混合の5人ぐらいが手をつないで輪になってワーキャーはねる行為に「ダンス」はあります?*1

ねーよ。バカ。

実際のところ、クラブの取り締まりに関しては、個人的には「官憲ビビッてんじゃねーよヘイヘイヘイ」ぐらいのカンジだったりします。ボディランゲージとはよく言ったもので、ダンスってのも言語たり得るわけです。言語を規制?できると思ってんスか?自分を神様かなんかと思ってるんスか?ケーサツの偉い人か、政治家の偉い人か、その辺よくわかんないですけど、地位がお高めのジジイ連中って、ホント頭カッチカチのアホばっかですね。彼らこそピナさんからダンス習ったほうがイイんじゃないでしょうか。そしたら、自分らが「閉塞的な状況下でオナニーしてるだけ」っつーのがよくわかんじゃないですか。ま、それさえわからんぐらいアホの可能性はありますけどね。ハハハ。ま、とりあえず、ホントに踊りたい人はクラブが無くたって踊り続けると思います。もしかしたら「クラブの雰囲気が好きな方」とか「身内ノリではしゃぎたいだけの方」が削ぎ落とされて逆にいいかもしれませんね。ハハハ。

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んで。冒頭のお話。
ワタクシ、個人的にはダンスの必修化は「ピナさんスタイルの指導だったら断固賛成」なわけです。この映画は、ピナさんの主張、すなわち「ダンスがいかに自分を解放してくれるか、そして、それがいかにステキなことか」ってのをビンビンに伝えてくれるとても素晴らしい作品です。そ。踊ることは自分を解放することなんです。別に上手く踊れなくってもイイし、誰かと合わせて踊る必要なんてない。極論をいえば踊ってなくても踊ってる人いるかもしんないわけです*2。え?うん?そうですね。この教室の講師陣は、思いのほか生徒さんたちに対して厳しい指導行ってます。でも、それは「型の死守」=「個の存在の抹消」を目論んでるんじゃなくって、その向こう側の景色、型の向こう側にある「個」をみてる。そして、それを見事に引き出してる。だから「なんでもあり」と「自由」は全く別モンなんですって。
そういうわけですから、ジョイとかキムちゃんとかその他のみんなが、最初は恥ずかしがってたのに後半ググンと表現力向上してるとこにはもちろん感動するわけなんですけど、もし、その向上具合がビミョーでも、彼彼女らが一生懸命踊ってる姿をみるだけで、そっから透けてみえるモンがあって、それこそがたまらん感動を呼び起こしてしまうわけなんです。
というわけで、この映画、尺はわりと短めなんですけど、正直もっともっと長くってもイイなあと思えるぐらい愛おしいものでした。「一生懸命やってるけど全然踊れてない場面」をもっともっと観たいし、つか、この教室の生徒40人全員の人生と触れ合わせて欲しい!ってなレベルで愛おしくなっております。実際、劇中、これまでの人生が語られる生徒さんってのは、とくに苛酷な体験された子達がピックアップされてるんですけど、そうじゃない子の人生模様も知りたいし、そして、その何気ないけど尊い人生を愛でるのもね、大事なことだと思うんですよ、だからさ、128時間バージョンとかリリースしてくれませんかね。マヂでみたいよー。「夢の教室」、皆のことが好きだよー!!でも、ホントはとくにキムちゃんチョー好きだよー!ビジュアルから立ち居振る舞いから全部好きだよー!!

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でもさ、日本の教師連中がダンス教えるとなると「決まりきったスタイルを忠実に守ること」のみ教えそうですね。もし、ダンスの授業がそういうモンにしかならないのなら、ほんとクズとしかいいようがありませんですね。そんなことしか出来ないのなら、教師連中、雁首揃えて北朝鮮渡航し、マスゲームの指導者にでもおなりなさい。キーーー。

*1:クラブあるある。この光景、心底憎悪しております。

*2:逆に「上手いけど踊ってない」人もいるかもしんないですね。