My love is Your love ―「ブライズメイズ」―

これから観るご予定がおありの方は観てから読んで頂いたほうがイイかと。


いきなりですが、ワタクシ、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」という映画が大好きでして、というか、「スーパーバッド」のエンディングが大好きでして、じゃあそれはどんなエンディングかといいますと、「幼馴染みの男二人がすったもんだあった末、それぞれイイカンジになれそうな女性がみつかって、ショッピングモールのエレベーターんとこで二組のカップルになって別れてく」というものなんですね。これがホンッッットに素晴らしいのです。チョー泣けます。もうね、ショッピングモールってとこが秀逸なんですよね。つまりさ、彼らは、それまでの「親密(=濃密)ゆえに閉じ切ってた、二人だけのカンペキな世界」から、ショッピングモールが象徴する大衆社会ん中へと埋没してくんですよね。万能感しか無かったお子ちゃまがワンオブゼムになる。それが大人になるっていうことなんですよね。良い。ほんと良すぎる!

幼馴染みの女性が結婚することになって、嫉妬しちゃったり自分の人生見つめ直しちゃったりなんかします。


ワタクシの友人のYは、「結婚式の直前、急転直下で突然破談」という経歴をもっておるなかなかの男です。ちなみに、Yと結婚寸前までいった女性、その二人が付き合うことになった経緯つうのが――
「その女性、そもそも、Yとは別の男性と結婚する予定だったのだが、式の直前、突然グズり出し、結果、アクロバティックに全然その案件とは無関係のYとくっついた」
――というものだった為、Yが「あいつと結婚するわ」つった時、その流れを知ってる友人知人一同、そろって誰もが皆「え……?大丈夫……?デジャヴ……?おんなじ撤踏まね……?」と思ったのでした。んで、その果てに起こった破談という結末に対して、友人知人一同、そろって誰もが皆「案の定……」と思ったのでした。

ところで、その二人、破談に至るまでにも、まーすったもんだ色々あったのですが、最終的に決裂が決定的になった女性のお言葉つうのがありまして、それはどのようなものかといいますと――「あんたの提案する住まいに引っ越したら友達と遊べんくなるやん*1」というものでした。いやまあさ、友達は大事だと思いますよ。でもさ、それを言葉にしちゃうと「Y<<<<友達」ってふうに受け取られてもしょうがなくないですか?「じゃあ友達と結婚すれば」ってふうになってもしょうがなくないですか?つかさ、そもそも論なんですけど、その理由、なんとも子供っぽくないですか?あのさ、セレモニーってさ、「儀式」という意味ですよね。「二人の門出を祝う」つーと雰囲気ボヤけちゃうけど、ようは、結婚式ってさ、「それまでのコミューンとの決別を意味するイニシエーション」なわけですよね。だから、必然、結婚てそういうもんなんじゃないんですか?よくわかんねーけど。

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さて。「ブライズメイズ」は女性版「スーパーバッド」と評されてます。それスゲーわかります。うん。まさにその通りじゃないかと思います。

主人公のアニーは、幼なじみのリリアンさんの結婚式の準備の為、それまで全く接点のなかった、リリアンさんの会社関係の友人・旦那の親族関係の友人とコミットすることになります。結果、アニーは、リリアンさんの「未知の人間関係」に嫉妬、「ワタシがリリアンのこと一番わかってんのに!」つって変に気張っちゃった結果、色々と裏目に出まくっちゃって、様々な笑える事態を引き起こしてくれます。ウンコありゲロあり泥酔あり毒舌あり、ホント笑いどころテンコ盛りで最高なんですけど、それだけに留まらないのが今作の魅力。

とくにグッときまくったのが、アニーとリリアンさんの幼なじみ同士が「おどけあってる」とこ。これが絶妙なんです。とくに、リリアンさん。彼女の「おどけっぷり」がホント絶妙でして、それは「幼なじみの主人公の前だからこそみせる、社会性を伴ってない油断しまくったおどけ」ってカンジがビンビン出てんスよね。でさ、その光景、チョー笑えると同時に、行間から「このおどけはもう永遠のものではない」ってヴァイブスがにじみ出ててたまんないんですよね。んと、あの二人の「おどけ」、絶妙な憂い帯びてんです。だから、油断してると笑うと同時に泣けちゃうんですよね――


主人公はそれまでの関係を維持してたい。でも、幼馴染みは新しい世界へと踏み出そうとしてる。お互い、友情は持ち続けてんだけど、別方向に歩みださなきゃなんない瞬間――うーん。イイ。ホントこういうのイイ。大好き。人はいつか、ぬるま湯みたいなコミューンから抜け出て大人になんなきゃならんのですよね。そうそう、そういえば、終盤、アニーのケツを蹴る人物、花婿の妹のメーガン――彼女も最高に笑かしてくれる人物なんですけど――彼女は、「じつは人生のめっちゃ早い段階で過去と決別しなきゃならなかった人物」だったわけで、その結果、彼女は「何をつかんだのか」っつうとこが非常に象徴的だなー*2と思ったりなんかもします。ん?違いますよ!犬のことじゃないよ!

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あ。そうそう。最後にYの後日談書いときます。Yとその女性、結婚は破談になったんだけど、そのままお付き合いは継続(?)し、そして、なんと昨年、無事(?)結婚するに至りました。どないやねん。Yのオヤジさん、フラワーシャワーの生花、おにぎりみたくギューギューに固めて、新郎新婦に向かっておもくそ全力で投げつけてはりましたわ。

*1:ちなみに、Yの提案した住まい、女性側の実家から車で30分かからない距離だったことをこちらに記しておきます。そこからその女性像を想像して頂ければ幸いです。

*2:観終わった後、ふと、メーガンが仕事してるシーン思いだしたんですけど、ニヤけると同時にやっぱ泣けました。