電気羊の夢、見ようが見まいが ―「プロメテウス」―

【ネタバレしてます】


突然ですが、ワタクシ、「エイリアン2」が好きでして、というか、「エイリアン2」を観た時に初めて「映画っていろんな見方ができて面白いんだなあ」と思ったのでした。ようするに、母親同士がガシガシやりあってるサマをみて「はたしてエイリアンとは一体誰のことなんだろう」と思ったわけですね。いやもう中学生とかの感想なんで勘弁して下さい。とりあえず、そんなワタクシが観た「プロメテウス」。これはなんといいますか、「父と子の物語」ってカンジですね。って、全然中学生時代と変わってないですね。って、観てる時は全然そんなこと思ってなかったんですけどね。帰りし車ん中で後付け的に考えたんですけどね。つまり、この作品、後付けで色々考えたくなる映画ですよね――

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さて、この作品、最初のほうはおもくそシリーズの始祖である「エイリアン」1作目をなぞった展開をみせます。それぞれ、なんらかの思惑を持ってるっぽい人達が、未知の惑星に行って何かに巻き込まれて云々。なんですけど、今回はお話の中心にいるのが、マイケル・ファスベンダーさん演じるアンドロイド、デヴィットさんでして、この点、結構新鮮な印象受けます。そう、デヴィットさん、後半のサプライズ要員とかじゃなくって、序盤から明らかに挙動不審、なにかをたくらんではってるサマが全開で最高です。あ。挙動といえば、デヴィットさん、後々のシリーズにて登場するアンドロイド達と比較しますと――見た目は端性ではありますが――動きにロボ感残ってるところがじつにステキです。プロトタイプ感があってイイ。あれ、ホントにファスベンダー調のロボなんじゃないのか。萌え。ってカンジです。
ま、とりあえず、そんなカンジのデヴィットさんがです、ちょいちょい「魂」について語ったりします。これはもうビンビンきます。人間とロボットの違いとはなんなのでしょう。すなわち、有機物と無機物の違いってなんなのでしょう。精巧に作られた無機物に「魂」はないのでしょうか。じゃあ有機物における「魂」ってなんなのでしょう。その謎の答えを父たる創造主が握っているのでしょうか。うーん興味深い!と色々妄想しちゃったりしたわけですけど。


「父と子」のお話はボンヤリした状態のまま――
「エイリアン」1作目と違う展開をみせますと――
つまり、嵐から脱出することなく未知の惑星に留まっていますと――
まるでそれと呼応するかのように――
映画そのものも――

嵐の中に巻き込まれていきます!!!
祭りや!!祭り!!!


とりあえず!!エイリアンといえば!!火炎放射器!!
景気づけに焼け!!躊躇なく焼け!!
続いて切腹!!躊躇なく切腹!!
そして間髪いれず縫合!!
技術は超絶に進歩してるけどやっぱ最終的には躊躇なく縫合!!
ジジイ!!!ジジイおったんか!!!
はいここで父子!!盛ってみました父子!!!
つかジジイ!!!ジジイの歩き方、完全にコント!!!
つかジジイ!!!ジジイのあっけない最期!!!
つかジジイ!!!そのメイク、ミスリードのためのメイクやったんか!!??

えええい特攻や!!特攻!!躊躇なく特攻!!!
デカい!!!デカい宇宙船が倒れてくる!!!
なんかッ!!全然ッ!!サイズ感がわからんッ!!!
けどスゴイ!!!!

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はあはあ。なんだか興奮してしまいました。
この作品によって語られる人類誕生の謎、と、エイリアン誕生の謎に関しては、シリーズの世界観的にはまま納得いくものではあります。しかしです、このようなまとめ方されると、なんといいますか、「人類とエイリアンの闘争は、結局のところ、エンジニアを基軸にした部分で内輪モメにすぎないから、相手方は容赦なく滅ぼしちゃっても全然OK」ってカンジに聞こえ、それってなんだか帝国主義擁護みたいな印象を受けたりしました。そういう意味ではそこはちょっと釈然としない。なんですけど、イイのか悪いのか、まあ結果的にいやあ全然イイんですけど、この作品、行間がありまくりで、その隙間を埋めることによって、なんだか自分にとって納得いく回答を生み出せそうなカンジがしてちょー楽しかったりします。というか、積極的に色々考えたくなります。「いや、まあ、人類誕生の謎はわかりました。振り返ってみて、はたと思いだすぐらいいきなりでしたが。でも、だからなんでその場所でその液体飲んだのですか?」「いや、まあ、それで結局デヴィットはなにしてたんスか?どこまで知ってて動いてはったんですか?その辺、わかるようでわかんないんスけど」
そういうわけで、この作品、「謎の提示」と「その説明不足っぷり」と「大味だけど、というか、大味だからこその面白映像の数々」が奇跡的融合をみせており、そこからなんともいえん魅力が生じてきており、カルト化必至の作品のような気がいたします。「大味」と「深淵な謎」を交互に楽しむ。甘いもん食べてたら辛いもん食べたくなって、辛いもん食べてたら、また甘いもん食べたくなって……おお……永遠……。ってカンジでジワジワ好き度増してます。