カナザワ映画祭に行ってきました

所用にかこつけて、どりゃあああとカナザワ映画祭2012(+α)を楽しんできましたので、少しその記録をば。

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ショーガール】をみました
(9.14香林坊にぎわい広場にて野外上映)
所用(食事)が想像を絶する早さで終了した為(17時スタートでした)、「もしかしたらいけんじゃね?」と思い会場へ。もうオープニングには間に合わない。とりあえず、お祭り気分だけでも味わえればイイかな?あんま長居しちゃうとアレだし。なんなら途中で帰っても――ってなカンジで、スゲー軽い気持ちで足を運んだのですが、これがもう想像以上に面白くって。そう、じつはワタクシ、この作品このたび初めて観たんですけど、完全に釘付け。ロックされまくっちゃいました。地べたに座って観るのって結構辛かったんですけど、圧倒的に面白くって結局最後まで観ちゃいました。
ストーリー最高。ビジュアル最高。音楽最高。「逆に」ロジックを積み重ねていった結果、基本に戻ったというかなんというか、クズなのに潔すぎて最高というかなんというか。ま、とにかく、ビジュアルと音楽に関していえば野外の爆音上映によって破壊力が増し増しになってたのでしょうか(初見なので比較が出来ない)あまりに最高すぎて、帰りし、信号で止まるたびに、手を顔の前でシュッシュッシュッと交差させてからの〜〜キメッ!!!!ってのをやり倒してしまいました。いやホント、爆音がマジやばくってですね、カイル・マクラクランの乗ってる車のエグゾーストノートでビンビンきちゃうぐらいの爆音っぷりでした。こんな最高の映画、こんな最高の環境で、よりによってタダで観ることできちゃうなんて……ごめんなさい……!!!

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ゴッド・ブレス・アメリカ】をみました
(9.15金沢コロナホールにて)
所用(甥っ子の運動会への参加)が流れまして、奇跡的空白時間が発生、見逃していたこの作品を観ることが出来ました。海が割れて道ができた級の高揚感。やったー。ちなみにこの作品をやってたコロナワールドって施設、このたび初めて行ったんですけど、ちょーイイですね。コロナワールド最高。パチンコとゲーセンと映画館が混然一体となってる複合エンターテインメント施設、コロナワールドさん、マヂ最高です。ワタクシの地元の街にやってきてくれないでしょうか。お願いします。多くは語りませんが、シネコン空白地帯の我が街、ワーナーとか109とかでは突破できない興行における諸々のアレな部分をブレイクスルーしてくれそうな気がするエンタメ空母っぷりだったんですけど。
閑話休題
ゴッド・ブレス・アメリカ」、全然前情報はいれずにいたんですけど、ポスターのイメージからは「スーパー!」みたいな映画かなあと想像していたのですね。正義感に燃える冴えないおじさんと血気盛んな若い姉ちゃんが街のダニをぶっ殺す!的な。いやまあ、確かにそういう映画ではありました。でも、この作品、「スーパー!」とは本質的には全然別の映画で、つまり、「スーパー!」は明らかにメタヒーローモノなわけですが、この作品は完全にニューシネマなんですよね。ロードムービースタイルのニューシネマなんですよね。でさ、この現代のニューシネマがどうだったかというと――ちょー切なかったんですよね。ホント心底切なかった。結局さ、主人公達が闘ってる現代アメリカの体制側ってさ、完全にDQNなんですよね。頭がパーのDQN金持ち一家とか、911忘れんなとかいってるDQN右翼とか、知的障害者を笑い者にしてるDQNテレビショーとか。あのさ、そのような非生産的DQNどもに対して闘いを挑むのってさ、ちょー不毛ですよね。全然建設的なカンジがしない。この時点で相当切ないんですけど、もう一歩踏み込んでみるとさ、結局、主人公達もDQNなんですよね。不毛に重ねて不毛な状況、マジたまらんかったです。しかし、アメリカってこういう状況をエンターテインメント化出来る強さってのもあるんですよね――っていうこのメタ構造!!!もう!!!!

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【不良姐御伝 猪の鹿お蝶】をみました
(9.15金沢都ホテルセミナーホールにて)

ところで。ワタクシ、カナザワ映画祭に行くのはこのたび初めて――じゃなくって、じつは2回目なんですね。前回行ったのは2009年。そん時、シメにみたのは「恐怖女子高校 女暴力教室」だったのですが、それがなんとも鮮烈でして、というのは、2009年のカナザワのラインナップは――毎回そうですがとくに――イイ意味でキチガイじみてまして*1、「新世界秩序」のテーマのもと「ノストラダムス戦慄の啓示」とか「人間革命」を上映してたのです。んで、それらトチ狂った映画群を連続で観ていましたら*2、興味深くはあるんですが、ま、正直苛酷すぎて廃人になりかけたんですね。そんな茨の道の果てに観たのが「恐怖女子高校 女暴力教室」だったと。これがマヂで感動的でして。「これが映画というものか!!生まれてはじめて体験した!!」級の感動。で、どうやら他のお客様も同様だったようで、縮み切ってたバネが一気に弾けたカンジでスタンディングオベーションせんばかりの拍手拍手拍手。あれは本当に最高の映画体験でしたね。
ま、とにかくこのような経緯があってからの3年ぶりのカナザワは、再度池玲子の巨乳(巨乳輪)から始まったわけです。じつにロマンチックな展開ですね。ありがとうございます、鈴木先生
さて。この作品、ド頭の「池玲子、全裸での殺陣シーン」がじつに素晴らしかったです。裸で雪の中を舞う池玲子。最高です。加えて、この殺陣、巧みに池さんの陰部が映りこまぬよう配慮してあり、その職人技にも感動しまくりです。
ところで、この作品、脚本そのものは尋常じゃないぐらいとっちらかっています。加えて、爆音システムの影響か、会話シーンでは声が割れ気味になってて正直何喋ってんのか判別つかないところもある。でもです、そんなの関係ないんですよね。よゆーで面白いんですよね。映像はステキだし、荒木一郎による劇伴は鬼カッコイイ。結局、映画の面白さって「完成度」だけじゃないんですよね(「ショーガール」も一緒ですよね)。ここ最近の邦画をみると「そこそこ面白げなのになんかダメ」ってものに出会うことが多々あります。これってようするに、楽しませる技術は進化してるのにも関わらず、「思想」つーか「信念」つーか、もっと簡単にいえば「貴方の主張」がない――ってことに起因することが多いと思うのです。これ勿体ないですよね。そこに魂を入れるだけで、邦画界はガラリと変わると思うのです。魂を入れるだけで時代を越える傑作ゴロゴロ出てきそうだあと思うのです。頑張れ、邦画界。

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【ウォーターパワー】をみれませんでした
所用(お寿司を食べる)のため観ること出来ず。本当に悔しかったです。つか、お寿司食べに行くまでの間、甥っ子とキャッキャ楽しく遊んでたのですが、突然、甥っ子が口を聞いてくれなくなりまして。「どうしたん?」と尋ねても「……知らない。変なこと言うから嫌い」の一点張り。後ほど詰問してみますと、どうやらワタクシが会話ん中で「おっぱい」という単語を発したらしく、それが汚らわしかったとのことです。あの……全然自覚ないんですけど。もしかして、今回のカナザワ映画祭のテーマ「SEX爆音」が刷り込まれてて無意識的におっぱいという言葉を……!?おっぱい

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【ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ】をみました
(9.16金沢都ホテルセミナーホールにて)
甥っ子との間に突如発生した亀裂の影響もあり、所用の直後、疲れ果てて寝ちゃってたんですが、ギリ間に合う時間に起床しましたのでダッシュで観に行きました。お話の内容は、

ヘロイン漬けにされて売春婦へと身をやつしたクリスチナ・リンドバーグさんがクソピンプ野郎に復讐を決行!

というもの。
この作品、主人公役を演じるクリスチナ・リンドバーグさんが正気とは思えないぐらいかわゆいです。まず、衣装の「着せられてる感」が尋常じゃない。道着とかコートとか絶妙にオーバーサイズ気味で萌えます。加えて特訓シーンの出来てなさ。全然動けません全然です萌え死にます。そして、その動けなさを補うためでしょう、アクションシーンの大半がスローモーションになってます。ンゴイです。ペキンパーもびっくりです。トリップ感満載です。
ちなみに、敵役のピンプ野郎、人身売買してるわりには、その管理体制は結構ザルで、というか大変良心的で、休日はわりと自由行動OKの模様。クリスチナさんは休日を利用して、復讐の為の修業に勤しみます。車でドリフト練習→柔道練習→射撃練習→お客様とセックス(結合部ちょー接写)→ドリフト練習→空手練習→射撃練習→お客様とセックス(結合部ちょー接写)→(以下略)ってカンジで、彼女の日常を延々ループして描いています。あまりのループっぷりに頭が狂いそうになります。そのループにブーストかけるのが、ドアップ結合シーンになると流れるナゾのノイジーな電子音。チンポが割れ目に出たり入ったりし始めると、ビヨヨヨー!!ビヨッ!!ビヨービヨヨー!!つってスゲー音が流れるんですよね。ちなみにです、この結合シーン、明らかに吹き替えなんですね。クリスチナさんの割れ目のようで絶対そうじゃない。このなんていうんですか、想像で補完することは可能だけど同時に幻想は守るっていうんですか、もうとにかくMUTEKIすぎるわけです。
さて、クリスチナさん、一通り修業が終わりましたら、さあ皆さんお待ちかね、復讐開始するんですけど、彼女、パトカー奪ってさ、全然関係ない車を煽って爆破炎上させたり、挙句、全然車走ってない砂利道をサイレン鳴らし続けて疾走したりするんですよね。完全に悪夢です
そんなこんなで、ラストもなんだかスゴいことになってます。まず、ピンプ野郎を地面に埋める。ま、この辺は全然解ります。次に彼の首に縄かける。それも全然イイ。アウトレイジっぽい。次にその縄をどうするかっつーと、馬にひっかける。馬?馬ですか……でも、ここも、ま、まあイイでしょう。んで最後にどうするかっつったら――馬の口が届くか届かんあたりにエサが入ったバケツ置くんですよね。そのさ、バケツ置く位置がすげー絶妙なんですよね!!
と、なんだかくさしたように書いてますけど、ハッとするようなカッコイイ絵も沢山あったりでちょー最高の映画でした。ホント良かったです。何度も観たくなる傑作ですよ、マヂで。

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【まとめ】です
先に邦画に関してのとこで少し書きましたが、結局、映画祭においても一緒なんですよね。カナザワ映画祭には、主催者様のヴァイブスがにじみ出まくってるわけです。画一的な何かは手に入り易くなってるこの現代社会、やっぱフツーじゃない貴方だけの主張が欲しい!カナザワ映画祭にはそれがある!ついていきます!

*1:改めてラインナップみてみたらそうでもなくってフツーに楽しめる作品のほうが多かったという

*2:といいつつ実際は「ノストラダムス」も「人間革命」も観ていない。すみません