カナザワ映画祭2013に行きました

今年もカナザワ映画祭に行くことが出来ましたので、観た作品の感想とストーキングの記録を少し。

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【バーニング】をみました
キャンプ場の管理人のオジサンが少年達のイタズラのせいで全身大火傷を負う!退院したオジサンは怪人バンボロ(命名東宝東和)となって少年少女を襲う!武器はハサミ!!
このようなプロットですと「調子ブッこいてキャンプを楽しんでるリア充の上に死と破壊を」となりそうなものですが、フタを開けてみますと全く予想外の展開で「キャンプ楽しそうだなあ。キャンプ行きたいなあ」と思ってしまう仕上がりでした。どうしてかっつーと、キャンプに参加してる人達が、男子女子ともに皆ヤリたいけどヤレないヴァイブス発しておりまして、なんつーのかな、そこはかとない少年少女感みたいなものが漂っててそれがスゴイ良かったのです。やや大柄の男子が過剰に道化を演じることなく女子と接してたり、確実に大柄の女子がイケてる系男子にタックルかまして川に突き落としたりと、絶妙に性が未分化なカンジと、若者特有の脂っ濃い自意識が少ないカンジがとても心地よかったのです。唯一ヤレるヤツも暴発しちゃったりなんかして「もう終わり?」なんて言われるわけですから、「セックス未満」感ってのは意図的なものだと思います。つかさ、バンボロ可哀想すぎ!「燃えるお兄さん」だと謝罪レベル

                       

さて。映画を観終わった後、退場していく方々を何気に眺めていますと、その中に見たことのある方が。「コワすぎ!」シリーズの白石監督が居る!つか、Twitterで「意地でもファントムをみる」旨を発信してらっしゃったし、映画祭関連イベントにも出演されますし、カナザワに来てらっしゃることは知っていたのですが、実際にお見かけすると「おおお!」ってなりますね。まあ、とりあえず、「ファントム」でもお見かけするかもしれないなあと思いつつ、一旦会場を後にしたのでした。

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ファントム・オブ・パラダイス】をみました
今回のカナザワ映画祭は、実際のところ「ファントムオブパラダイス」の爆音上映を観る為に参加したといっても過言ではなく、でも、もしあんましグッとこなくても「ファントム」そのものが最高なのは間違いないし、だから、どう転んでも良いのだ――と若干の自分内保険をかけつつ鑑賞に挑んだわけですが、これが想像を絶する大傑作っぷりを発揮!爆音上映ヤバい!
とりあえず、序盤、爆音でのウィンスローのピアノ弾き語りの段階で圧倒され「ウィンスロー天才すぎるよ……!」と唸りまくり。勿論、ラストのサバト的狂乱からの怒濤の展開もヤバすぎて、あまりのエモさに体温上昇、ついには嗚咽しそうになっちゃって、手の甲をグッと噛むことで声をあげるのを堪えたぐらいでした。もうさ、イオンシネマさんとか19日20日はファントムの日とかにして毎月劇場で流してくれないでしょうか。


さて。ワタクシ「ファントム」を観るにあたって、良い席を確保する為、開場の40分程前に劇場へと足を運び、気合い充分で並ぼうとしたわけですが、徐々に形成される列のワタクシの目の前にはなんと白石監督が居る!つか、途中から二列に詰めて並ぶようにアナウンスあったもんだから、真隣に白石監督が居る!!ちょー話しかけたい!でも実はめっちゃ似ている人の可能性もあるし、その際の言い訳考えなければいけないし、つか、じゃあ、いざ何を喋るかというと全然まとまらないし、つか、監督めっちゃパンフレット買ってはるし、今もスペースバンパイア」のパンフレットめっちゃ読んではるし、つか、誰も声をかけないし、これが都会のマナーなのか?などと考えていると、あっという間に40分が経過し、結局、監督に話しかけることは出来なかったのです。無念。さらには、劇場入りましたら、監督が一足先にワタクシの狙ってた席に向かったものですから、そのまま隣に行くのはちょっとキモがられるだろうと思い、もう一列後ろの、それも3席ほど下手側に行っちゃったりなんかして、諸々無念でした。でも「やっぱその辺がベストですよね!」とちょっと嬉しくもあり一人ニヤニヤしていたのですが。キモいですね

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時計じかけのオレンジ】をみました
時計じかけのオレンジ」の爆音上映、これもちょー楽しみでした。入場待ちの列に並んでる際、テストで出してる音が場外に漏れ聞こえてきたのですが、そん時は鼓膜とともに心も震えました。ヤベーどうしよう!映画館で観ちゃうよ!って。
にしても、やっぱ「時計じかけ」はちょー笑えますね。前振りが効きまくってるから、アレックスが刑務所内で敬虔なクリスチャン演じてるのとか心底アホすぎてたまりません。ルドヴィコ療法中のBGMが大好きな第九だと気づいて発狂するアレックスを眺める博士の呆れ顔とかマジ最高です。あと、二回目の作家宅訪問も大好きでして、呼び鈴が鳴る中、カメラが右手にパンしていくと……前は奥さんが居たところに超絶メガネマッチョが居る!!あの展開とメガネマッチョのビジュアルの過剰さは爆笑必至です。
つかさ、ここまで笑えると、第九もある種のルドヴィコ療法みたく「聞いたら笑える音楽」になっちゃってもおかしくないのに、そうならないのはハンパない「第九」力によるものなのでしょうか。いやホント冗談抜きで「時計じかけ」における第九って、「デデーン!!アレックス、アウトー!!」的になってもおかしくないと思うのです。実際、「雨に唄えば」はちょっと笑えるようになっちゃってるじゃないですか。その分かれ目ってどこにあるんでしょうね。いや、笑えるとこあるけど。不思議。


ちなみに。「時計じかけ」も人気ありそうなので、早目に家を出て劇場に向かったのですが、良い駐車場が見つからずおんなじ道を二度三度往復してから劇場に到着しましたら、既にそこそこの列が出来てまして。慌てて列の最後尾に向かって小走りで駆けていますと、最後尾から4列ほど前に白石監督が居る!今度こそお話がしたい!でも早く並ばないと、今、映画みてるムービーアスリートの皆さんが退場してきはったら、大半の方がそのまんま次の作品みる為に並んじゃうのでスンゴイ後方に並ばざるを得なくなっちゃう!!と泣く泣く列に並んで白石監督の後ろ姿を眺めるのでした。

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スカーフェイス】をみました
2013年のカナザワは、特別企画「午後十時の爆音映画祭」の「時計じかけ」に続けての「スカーフェイス」で〆ました。いやあ「スカーフェイス」、終盤の銃撃戦では爆発音で椅子がビリビリ震えちゃったりなんかしてちょー最高でした。一応、眠気対策でメガシャキ飲んでみてたのですが、それと劇中のコーク描写がナゾのプラシーボ効果を巻き起こしたのでしょうか、途中から目は冴えるし、ちょーアガるしと、ちょっとヤバいことになってしまいました。
つか、「スカーフェイス」ってじつに痛々しいというか、残酷な話ですよね。だってさ、「いくら成り上がったとしてもそもそも卑しい人間には栄光など訪れない」つってるわけじゃないですか。それってわりと酷いと思うんだけど。まあ、それを反転させて「品格が伴ってもいねえのに調子こいてる成金野郎はいつか痛い目に遭うんだなあ」と思いながら観てみますととってもスッキリした気持ちになるわけで、ぶっちゃけワタクシ、その気持ちを胸に抱いてクソみたいな平日をやり過ごそうと決めた次第でした。

ちなみに。ちょー私事なのですが、この度「スカーフェイス」観てたら、トニーモンタナのビジュアルが、中高大の同級生、どころか一時期バイト先まで一緒だったクボ君とそっくりだなあと気づいたのです。ちなみにクボ君、どのような人物だったかといいますと、高校ん時「俺、もしオンナと付き合うことがあったらお前らに一万円払うわ」などと言っちゃったりする謎のこじれ方してた人物でして、んで、大学生になったらなったで「この前、めっちゃ飲んで気づいたらラブホで寝てたわ。一人で。途中までオンナと一緒やったのに。でも絶対ヤったわヤったはずやわ」とか言っちゃったりしてて、もう、何の何かわからん切ない男だったのです。そういや、バイト先の社員さん達とクボ君とワタクシとで「がんこ」カニ喰い放題に行ったことあるなあ。で、クボ君、調子に乗って喰いまくったらカニの毒素にヤラれちゃって、帰りしの車で嘔吐しちゃったよなあ……うわあ……アレちょー切なかったなあ……切ないの思い出しちゃったなあ……ってなってトニーモンタナの切なさが8割増しぐらいになったりしました。有難う、クボ君。

ま、そんなこんなで大満足で劇場出たわけですが、最も時間的な余裕があるこのタイミングでは白石監督は居ない!!人生とはそういうものですね。

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【まとめ】です
カナザワ映画祭はやっぱ最高です。映画観るだけだったら、んなもん家でDVD観ればいいじゃんって意見もあるでしょうが、劇場でみると起こるマジックってのは間違いなくありまして、それは時には人生を狂わせるぐらいハネたりするわけです。カナザワ映画祭って、主にスケジュール面で負荷があるわけですが、その負荷がマジックを引き起こす要素になってるような気がします。観客に媚びるような快適さなんていらない!ホント、未体験の方は是非味わってほしいなあと思います。マジでクセになりますよ。